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最新調査報告
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バリアフリールームの利用実態に関する調査~2020年に向けて、需要が高まるホテルのバリアフリー~

≪調査の背景≫

2020年に向けて国際パラリンピック委員会が第4回事務折衝で指摘した、宿泊施設の客室のバリアフリー化に注目が集まっています。車いすユーザーに対応している客室は、「バリアフリールーム」や「ユニバーサルルーム」とも呼ばれ、障害のある方やご高齢の方をはじめ、多様な方が宿泊しやすいように配慮がされています。(※以下、バリアフリールーム)今回は、今後ますます需要が高まる「バリアフリールームの利用実態やニーズ」について、調査を行いました。

    
・実施期間:2017年8月18日~2017年8月22日
・調査方法:WEBアンケート
・対象者:92名(肢体不自由者※)
 ※内訳:電動車いすユーザー 36名、手動車いすユーザー 37名、
     杖・義肢などの福祉器具を利用 18名、福祉器具の利用なし 1名

 

≪調査結果の注目ポイント≫

・回答者の約8割が「過去にバリアフリールームを利用したことがある」と回答  
・バリアフリールームに求める設備やサービスは1位が「客室が広く、動きやすい」、2位は「バスルーム/トイレに車いすのまま入ることができる」、次いで「宿泊施設全体がバリアフリーである」
・宿泊施設を利用する際に重視していることの3位に「バリアフリールームがあること」がランクイン
・回答者全員が「バリアフリールームが満足できるものであればまた宿泊したい」と回答  

 

≪調査結果の詳細≫

■バリアフリールームの利用実態:全体の81%が「バリアフリールームを利用したことがある」と回答 n=86

「宿泊施設を利用して旅行に行く」と回答した障害者に、バリアフリールームを利用したことがあるかどうかを尋ねたところ、81%が「バリアフリールームを利用したことがある」と回答しました。

 

■バリアフリールームに求める設備やサービス:最も多いのは「客室が広く、動きやすい」こと(複数回答) n=68

障害者がバリアフリールームを利用する際に求めていることを尋ねたところ、最も多いのは「客室が広く、動きやすい」、2番目に多いのは「バスルーム/トイレに車いすのまま入ることができる」、次いで「宿泊施設全体がバリアフリーである」でした。

 

■宿泊施設を利用する際に重視していること:3位は「バリアフリールームがある」こと(複数回答) n=80

障害者に宿泊施設を利用する際に重視していることを尋ねたところ、回答者44%が「バリアフリールームがある」宿泊施設を選んでいることが明らかになりました。最も多かった回答は「価格の安さ」であり、次いで「立地の良さ」がランクインしました。

 

■バリアフリールームのニーズ:回答者の全員が「バリアフリールームが満足できるものであればまた宿泊したい」と回答  n=65

回答者全員が「バリアフリールームが使いやすい、満足できるものだった場合、また宿泊したい」と回答。

 

≪参考:「こんな部屋があったら使いたい」「こんなサービスが特に嬉しかった」≫

今回は全員を対象に、理想のバリアフリールームについて、自由記述として尋ねました。

<回答>※一部抜粋

・トイレと浴室の空間がじゅうぶんあり、使いやすいこと。折り畳み式の車いすをベッド脇に広げておくことができること。電動で背もたれや足元の上げ下げができるベッドがあると嬉しいです。まだバリアフリールームを沢山調べていないので、どこかにあるのかもしれません。サービスで嬉しかったことは、一件ホテルに問い合わせをした時にバリアフリールームの利用料金が高いことに加え、繁忙期のため予算に納まらないことを考慮し「ホテル従業員全員でお手伝いをさせて頂きます」というお返事をもらったことです。実際に車いす介助や車いす置き場の確保と身体介助をして頂きました。とても嬉しかったです。助かりました。今でも感謝しています。(手動車いすユーザー、50代女性)

・部屋のお風呂でも温泉が出るとうれしい。または貸切風呂に風呂用の車いすがあり、それに乗ったまま湯船に入れるといい。(手動車いすユーザー、40代女性)

ベッドとベッドの間を広く、車いすで移乗しやすくして欲しい、何かあったら遠慮なく言ってくださいなど言葉での配慮がうれしかった。設備はもちろん大切だけれど、一言あるだけで安心して、頼みやすい。(電動車いすユーザー、20代女性)

・電動ベットがあり、天井走行移乗用リフターがあるバリアフリールーム。(電動車いすユーザー、50代男性)

・各施設に1室しかバリアフリールームがないところが多いので、室数を増やして欲しい。WEB予約できるようにしてほしい。 (電動車いすユーザー、40代女性)

 

≪考察≫

今回の調査では、車いすユーザーや、義肢装着者などの移動に不便を感じる方々が、客室をバリアフリー化するだけではなく、エントランスや廊下など施設全体のバリアフリー化を求めていることがわかりました。

国土交通省の建築設計標準の改正では、宿泊施設に関して、新築だけでなく、既存の宿泊施設を改善しバリアフリー化を推進することが求められていますまた、バリアフリールームだけでなく、通常の客室高齢者や障害者が利用しやすいよう配慮することが望ましいとの規定が定められ、対応が急務です。

しかし、求められるバリアフリーの設備やサービスの内容は人によって様々です。加えて、宿泊施設にとっては、金銭的にも改装や新築をすることが難しいケースが多々あります。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けてハード面を整備するとともに、接客のサポートなどソフト面でカバーできるような対応を充実させていくことが、急ぎ求められると考えられます。