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賃貸住宅の利用実態に関する調査~障害者の約3割が「入居拒否」「立ち退き要求」を経験~

≪調査の背景≫
2016年12月、障害者差別解消法の施行に伴い、国土交通省は宅建建物取引業者を対象とした対応指針を公表しました。
指針の中では「不当な差別取り扱いの禁止」や「合理的配慮の提供」の具体的な事例が挙げられました。この指針の設定により、これまで人権侵害として行政機関の指導の対象になっていた、障害者に対する入居拒否や立ち退き要求は、明らかな違法行為だと主張できるようになりました。
本調査は、障害者の賃貸住宅における利用実態やニーズについて明らかにするために、調査を行いました。

・対象者:ミライロ・リサーチ登録モニター
・調査方法:WEBアンケート
・アンケート実施期間:2017年9月25日~2017年10月10日(有効回答数:191名)

≪調査結果サマリー≫
[1] 賃貸住宅の利用実態について、障害者の82%が「賃貸住宅に入居している、もしくは入居した経験がある」と回答

[2] 約3割の回答者が障害を理由に「入居拒否」や「立ち退き要求」の経験あり

[3] 賃貸住宅に入居したことがない障害者の約8割が「賃貸住宅の利用に不安を感じる」と回答し、「バリアフリーが整っているか不安」と考えている割合が多かった

[4] バリアフリーの賃貸住宅があれば借りたいかについて、障害者の約7割が「住みたい」と回答

[1] 賃貸住宅の利用実態について、障害者の82%が「賃貸住宅に入居している、もしくは入居した経験がある」と回答

賃貸住宅に入居・入居検討の有無を聞いたところ、82%が「ある」と回答。障害による違いは見られませんでした。

賃貸住宅に入居した経験、もしくは入居を検討した経験はありますか?

[2] 約3割の回答者が障害を理由に「入居拒否」や「立ち退き要求」の経験あり

入居拒否や立ち退き要求の経験の有無を聞いたところ、回答者の25%、数にして42名の回答者が「経験がある」と回答しました。

賃貸住宅を契約・検討する際、障害を理由に入居拒否や立ち退き要求をされた経験はありますか?

[3] 賃貸住宅に入居したことがない障害者の約8割が「賃貸住宅の利用に不安を感じる」と回答し、「バリアフリーが整っているか不安」と考えている割合が多かった

賃貸住宅への入居・入居の検討の経験がない回答者に、障害を理由に賃貸住宅入居に不安を感じるか聞いたところ、80%が「不安を感じる」と回答しました。不安を感じる主な原因としては、「バリアフリーが整っているかどうか」「災害時に情報保障や避難経路があるかどうか」などがあげられました。

これから賃貸住宅に入居すると仮定した場合、ご自身の障害を理由に不安を感じますか?

[4] バリアフリーの賃貸住宅があれば借りたいかについて、障害者の約7割が「住みたい」と回答しました

賃貸住宅がバリアフリーであれば借りてみたいかという質問に対しては回答者の70%が「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」と回答しました。

バリアフリーの賃貸住宅があれば借りたいですか?

≪考察≫
今回の調査では障害者の約3割、数にして171人中43名が「障害を理由に入居拒否や立ち退き要求をされた経験がある」と回答しました。また、入居の経験、検討した経験がない方の8割が「障害を理由に賃貸住宅の契約に不安を感じる」と回答しています。
2015年、全国賃貸住宅経営者協会連合会は、宅建業者、管理業者、家主向けに「障害者差別解消法について充分にご理解いただき、障害のある方々への適切なご配慮にお努めください」というタイトルのパンフレットを配布し、「不当な差別取り扱いの禁止」や「合理的配慮の提供」についての理解を求めました。
「不当な差別取り扱い」と違い、「合理的配慮の提供」は法的義務ではなく努力義務であり、提供される側と提供する側の「建設的会話」が必要であるといわれています。
法に従い適切な対応をすることはもちろん、今後は、障害者の不安を取り除く「合理的配慮の提供」のために双方を理解したうえで、柔軟に対応することがますます求められると考えます。

≪回答者属性≫