≪調査の背景≫
年が明けてから、初めて神社や寺院に参拝し新年の願掛けを行う初詣。
障害者差別解消法の施行により、宗教法人などの民間事業者にも、努力義務として可能な限り障害特性や困りごとに合わせて配慮をする「合理的配慮」が求められています。
初詣の参拝者数が日本一の明治神宮では、拝殿にスロープが設置されていたり、お伊勢さんと親しまれている伊勢神宮では、ホームページにバリアフリー情報を掲載したりするなど、一部の寺社仏閣では障害者対応も着々と進められています。
本調査は、障害者の初詣における実態や課題を明らかにするために、調査を行いました。
・対象者:ミライロ・リサーチ登録モニター
・調査方法:WEBアンケート
・アンケート実施期間:2017年12月11日~2017年12月25日(有効回答数:279名)
約8割の障害者が初詣に、「毎年行く」「たまに行く」と回答。初詣に行かないと回答した方は、全体の14%に留まりました。
あなたは毎年初詣に行きますか?
6割の障害者が三が日の間に参拝すると回答、最も多かったのは1月1日でした。
いつ初詣に行きますか?
回答から、比較的慣れている場所や、生活圏に近く、便利な場所が多く参拝されていることが分かりました。
参拝する寺社はどんなところですか?
初詣で感じたバリアや、欲しい設備・サービスに関しては、「バリアフリーであること」「混雑緩和」「情報保障」「案内ボランティアの充実」などの意見が寄せられました。
「こんな設備、サービスが整っていれば初詣に行きたい」「初詣で具体的にこんなバリアがあった」等、寺社仏閣に関してご意見、ご要望がございましたら教えてください。
(※抜粋)
≪考察≫
今回の調査で、障害者の多くは参拝に関して、主に2つのバリアを感じていることが分かりました。
1つは、玉砂利や石畳、階段により、車いすや杖をついた状態では参拝ができない等の環境のバリア。もう1つは、フラットな道がどこか分からない、点訳表示や音声案内がないことにより、目的地にたどり着けない等の情報のバリアです。
障害者差別解消法の施行からまもなく2年が経過し、大きな寺社仏閣では、ハード面でのバリアフリー対応が整備されつつありますが、予算や人員などを割けないところでは、整備できていないのが実情です。
参拝経路のバリアフリー化、多目的トイレの設置等の整備が必要ではありますが、コストが大きな設備投資だけでなく、寺社仏閣のバリアフリー情報を公開するなど、訪れる前の不安を解消することも一つの方法です。
障害を理由に、参拝を諦めなくても済むよう、寺社仏閣内のバリアフリー情報の充実やアクセス改善が求められているのと同時に、訪れる障害者と向き合う機会を増やすことが重要と考えられます。
≪回答者属性≫