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モニターの声 鈴木 義雅 様

プロフィール

防災士やソフトボールの審判員、手話の先生としても活躍する鈴木義雅さん。生まれつき全ろう(耳が全く聞こえないこと)の鈴木さんは、手話や口話、筆談等を使ってコミュニケーションを取っています。ミライロ・リサーチのモニター登録のきっかけや、モニター調査のやりがいなどを伺いました。

 

ろう者の自分だからこそできることを、お手伝いしたい

ミライロ・リサーチを知ったのは、FacebookでWEBアンケートを見たことがきっかけです。アンケート内容は忘れてしまいましたが、しっかり答えましたよ。

私は生まれつき耳が聞こえませんが、今聞こえる方でも加齢に伴い、耳が聞こえづらくなる方も増えてきます。聞こえない私だからこそ気づける視点を、聴覚障害のある方を含めた多様な人の役に立てられればと思い、登録を決めました。

 

これまで感じた不便な体験を、社会に届ける

リサーチモニターに登録してから約1年間、WEBアンケートやメーカーの電子機器調査、健聴者との座談会に参加しました。特に印象に残っているのは、電子機器の調査です。

 

テレビに字幕を映す際の位置や、表示するタイミングなどについて意見を伝えました。個人的には、色々な製品やサービスに、目でわかる情報(操作説明や案内など)をつけて欲しいと思っています。そう思った背景には、いくつかの理由があります。

以前、仕事から帰ってきた時、冷蔵庫が壊れていたことがありました。冷蔵庫が開けっ放しになっていることを知らせる音に気づかず、帰ってくる頃には中身が全て腐っていました。

また、こんなこともありました。病院で胃のX線検査を受けた際、お医者さんからの説明を口話で聞いたのですが、間違えてしまい、バリウムを2回飲んでしまったこともあります。

お知らせや説明も音声だけでなく、文字で表示してもらえたら楽なのにと思うことが日常生活でよくあります。

そういった、自身の経験も含めて気づきを伝えたところ、企業の皆さんは「そういった視点もあるんですね。聴覚障害のある方だけでなく、海外の方にも需要がありそうですね」と驚いていました。

障害のある私だから気づけることを伝え、このような返答をいただけると、大変やりがいを感じます。あらゆるモノやサービスにおいて、音だけでなく、目でも理解できる機能が増えることを願っています。これからも自分だから届けられる視点を伝えていきます。

 

ソフトボールの審判や防災士としても活躍中

私は防災士の資格を持っています。2010年8月、聞こえる人たちと一緒に災害訓練に参加して防災士の存在を知り、この資格を取ることを決めました。2011年5月に防災士を取った後は、東日本大震災の被災地に行き支援活動を行いました。

災害時、ろう者は様々な情報のバリアを感じます。例えば、避難所で配給のアナウンスが聞こえず物資を受け取り損ねてしまったり、停電すると視覚からの情報も得られないため不安な気持ちになったりします。命に関わることだからこそ、情報のバリアをなくし、ろう者の不安を取り除けるようにしたいです。

週に2・3回、ソフトボールの審判員としても活動しています。地域の審判員の方に誘われたことがきっかけです。もともと、ろう者のソフトボールチームに所属していたこともあり、競技の楽しさや難しさは理解しています。審判員の一瞬の判断が、勝敗を左右するので、選手同様、一球一球に魂を込めています。

モニターの声 村松 美紀 様

プロフィール

暗闇の空間で、聴覚や触覚など視覚以外の感覚を使って日常を体験するエンターテイメント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」のアテンドを務めている村松美紀さん。

段々と視力が低下し、高校1年生で全盲となりました。趣味は声楽で、3ヶ月に一回、ライブハウスで演奏を行います。

 

聴覚・触覚・嗅覚・味覚で楽しんだ、里山での古民家体験調査

群馬県沼田市にある里山・古語父での1泊2日の里山体験ツアーが、初めてのモニター調査でした。ミライロ・リサーチのモニターに登録している夫から、視覚障害者の女性限定で面白そうな調査があるから行ってみたら?と勧められたことがきっかけで、仲の良い友人たちを誘って参加しました。その後、私もモニターに登録しました。

この調査は、今後もきっと忘れることのない素晴らしい思い出となりました。

初日は、160年の歴史を持つ古民家や周辺を見学した後、子牛へのミルクあげ、牛の乳搾り、野菜の収穫、うどん作りを体験しました。招いてくださった古語父の里山ぐらし推進会の皆さんは、私たちを誘導しながら、丁寧に解説や指導をしてくださいました。子牛のミルク上げでは、獣医さんが近くで見守ってくれたので、歯や頭、体に怖がらずに触ることができました。また、うどん作りでは、生地を機械に入れて伸ばすのですが、それがバーキンスブレイラーという、視覚障害者が使う点字ライプライターに似ていて、親近感がありました。うどんを一から作り、食べられたことが嬉しかったです。

2日目は、りんご狩りを体験しました。木に実った果実の表面に付着している、べとべとした蜜を触りながら、好きなものを選びました。甘くてジューシーで、とても美味しかったです。初めてのことばかりで、不安な気持ちが大きかったのですが、古語父の住民の皆さんやミライロの皆さんが、私たちを温かく迎えいれてくださり安心して過ごせました。

一般的なツアーですと、ここまで配慮していただくことはありません。もっと詳しい情報を知りたいなと思っていても、迷惑をかけたくない気持ちから聞くことを我慢することが多いです。このツアーが具体化したら、多くの視覚障害者に里山体験をしてもらいたいと思います。新たな世界があることを知ってほしいです。そして私も、また古語父に帰ってきたいです。

 

自分の感じているバリアを、今後も伝えていきたい

普段感じているバリアを社会に届けられること、バリアの解消方法について一緒に考えてくれる人がいることが本当に嬉しいです。ミライロ・リサーチに関わり、様々な方々が、私たちの生活を少しでも良くしようと考え、動いてくださっていることに気づきました。

 

正直、最初は、「自分の意見が本当に役に立つのかな?」「こんな些細なことでも受け入れてもらえるかな?」と少し不安を感じていました。ですが、調査で、「私には気づかない視点を教えてもらえるので勉強になる」と言ってもらえた時、自分自身の感じている不自由な視点が、誰かの役に立つことを知りました。

伝えなければ誰にも届きません。黙っていても何も始まりません。どんな障害特性の方でも、自身が感じている不自由な体験を伝えることで、それは大きな価値に繋がります。「私の意見でも価値になるかな?」と感じている方がいたら、自分が感じている不自由な体験を率直に伝えてほしいです。

 

 

 

自分の新たな一面を知り、表現することができる音楽

「歌をうたうこと」が一番の趣味です。3ヶ月に一回、ライブハウスに出演しています。曲を作って披露することも、人気歌手の曲をカバーすることもあります。以前、日比谷で開催したチャレンジザフェスティバルに参加し、車いすユーザー、聴覚障害のある方、ダウン症の方など多様な方々と共演したことは思い出の一つです。

歌っている時、自分の新たな一面を知ることができます。リズムや音を合わせることの楽しさ、皆に喜んでもらえることの嬉しさなど、色々な感情を体感できることが面白いです。大好きな歌を、今後も楽しく続けていきたいです。

 

モニターの声 三ツ木俊之 様


プロフィール
バリアフリーのコンサルティングを手掛けるコクア・ネットワークス(株)の代表を務め、東京2020パラリンピックに射撃の選手として出場することを目指している三ツ木俊之さん。9年前の事故により腰椎などを骨折し脊髄損傷となってから、車いすを使用しています。三ツ木さんに、ミライロ・リサーチのモニター登録のきっかけや、モニター調査のやりがいなどを伺いました。

 

自分の視点が誰かの役に立つことが嬉しい


ミライロ・リサーチとの出会いは、通っている脊髄損傷者向けのトレーニングジムの会員メールマガジンで、ミライロ・リサーチのWEBアンケートの案内が来たことでした。“車いすに乗っている自分の視点が誰かの役に立てるかもしれない”とやりがいを見いだしたことを覚えています。このように感じた背景には、ある経験があります。

好きなアーティストのライブを見ようと、神奈川県内の音楽ライブホールへ行ったことがありました。その時、バリアフリーシートに案内されたのですが、ライブが始まり前の人が立つと、ステージが全く見えなくなりました。とてもショックでした。ライブ後、複合施設の管理担当をしていた経験も活かして、運営スタッフに改善点をメールで送りました。その返信には、「三ツ木さんに言われて初めて気づきました。改善のための参考にします』と言ってもらえました。嬉しかったですね。車いすユーザーだからこそ気づける視点があることを感じました。

ミライロ・リサーチのモニターとして参加することで、私だからこそ気づける視点を届け、施設の改善やサービスの向上に繋げていきたいと思い、モニター登録を決めました。

 

視覚障害のある人の意見が自身の視野を広げるきっかけに


モニター調査に登録してから約2年間、WEBアンケート、飲食店スタッフの接客応対調査、施設のバリアフリー調査などを行いました。特に印象に残っているのは、ミライロのスタッフと一緒に、1日6施設回ったバリアフリー状況調査です。普段は1日1施設を調査することが多いので、貴重な体験でした。

またモニターとして一緒に参加した、視覚障害のある方の意見はとても勉強になりました。ある施設から最寄り駅までのアクセシビリティの調査をしていた時、点字ブロックが設置されている道がありました。私は点字ブロックの凹凸がガタガタするため車いすを漕ぎづらいと思っていたのですが、視覚障害のある方にとっては命綱なんですよね。視覚障害のある方が、少しでも点字ブロックが切れていた道は、どこに行ったら良いかが分からなくなってしまうんです、と言っていたことは新鮮でした。

この経験から今では、点字ブロックが途切れていると視覚障害のある方にとってはいかに危ないかということに気づけるようになりました。他の障害特性の方の視点を聞くと、私自身の視野も広がります。

 

車いすユーザーの一人として声を届けていきたい

モニターのやりがいは、車いすユーザーだからこそ、気づくことを伝えて、施設やサービスの改善に繋げてもらえることです。企業側は、私たちが伝えて初めて何が課題かに気づくことが多いです。逆に言えば、言わないままでは、分かってもらえません。

モニターに参加するようになってから、バリアフリーに関して何が良くて、何が不都合なのかを言葉にして発信するようになりました。
ただ、私の意見は車いすユーザーの中のほんの一部であることも理解しています。自動車いすユーザーや手動車いすユーザー、握力が強い方、弱い方など多様な方々がいます。一つの事象を取っても、様々な意見があります。だからこそ今後も、車いすユーザーの一人として、自身の気づきを届けていきたいと思っています。足の不自由な方や、他の車いすユーザー、ベビーカーユーザーにも自分の意見が役立つと思うと、本当に嬉しいです。

 

射撃で東京2020パラリンピックに出場することが目標

今、一番取り組んでいること「射撃」です。目標は、東京2020パラリンピックにエアライフル種目の選手として出場することです。前回の東京オリンピックの1964年生まれの学年ということもあって何か運命的なモノを感じ、2020年大会には自分が選手として出場できたらと、2年前から射撃を始めました。

1発の満点は10.9点で、満点を狙うには10メートル先の標的の真ん中、直径0.5ミリメートルの点に命中させなければいけません。重さ5kg近い銃を抱えて身体を静止し、いかに集中力を高められるかが求められるスポーツなのですが、まだまだ経験が浅いので、日々鍛錬を積んで、目標を達成できるように頑張ります。

国内旅行に関する障害者の意識調査~障害者の8割が1年に1度以上旅行へ~

≪調査の背景≫

2016年に施行された障害者差別解消法により、ユニバーサルツーリズムに限らず、旅行業界においては一層の障害者受け入れ体制の整備や啓発が進められています。今後需要が高まるであろう障害者の旅行の実態について、調査を行いました。

・対象者:158名
・実施期間:2017年7月7日~2017年7月11日
・調査方法:WEBアンケート

※重複障害の方も含まれるため、対象者数と内訳が異なります
(内訳:肢体不自由 134名、視覚障害 34名、聴覚障害 31名、内部障害 19名、精神障害 17名、発達障害 12名、その他 13名)

 

≪調査結果の注目ポイント≫

・障害者の8割が「1年に1度」以上旅行に行っている
・身体障害者の中で最も旅行頻度が多いのは聴覚障害者で、回答した31人全員が「1年に1度」は旅行に行くと答えた
・障害者と一緒に旅行をするのが最も多いのは「家族」、次いで「友人・知人」
・障害者を含む旅行人数として最も割合が高いのは「2~3人」、次いで「4~5人」のグループ

 

≪調査結果の詳細≫

■旅行に行く頻度:障害者の8割が「1年に1度」は旅行に行くと回答 n=144

※「内部障害」「精神障害」「発達障害」「その他」はサンプル数寡少のため、参考値

障害者を対象に、旅行に行く頻度を尋ねたところ、障害者の8割が「1年に1度」以上旅行に行くと回答しました。身体障害者の中で最も旅行頻度が多いのは聴覚障害者で、回答した31人全員が「1年に1度」は旅行に行くと答えました。

一方で「4~5年に1度」「それ以下」「行かない」と答えた人の約70%が、その理由として「障害による不便」を挙げていることがわかりました。

 

■旅行の同行者:最も多いのは「家族」、次いで「友人・知人」(複数回答) n=118

障害者が旅行に行く際の同行者を尋ねたところ、最も多いのは「家族」で66%、次いで多いのが「友人・知人」で43%、その次に「恋人・配偶者」で36%でした。全体の約10%である12名が 「ヘルパーさんと」と回答しました。また、ヘルパーさんと行くと答えた人の内10名が肢体不自由、残りの2名は視覚障害者であることがわかりました。

 

■旅行に行く人数:障害者の約8割は複数名で旅行に行くと回答 (複数回答) n=118

障害者に旅行へ行く人数を尋ねたところ、約8割の障害者が複数名で旅行に行っていることが明らかになりました。最も多い旅行人数は「2~3人」であり、次いで「4~5人」のグループです。

また、一人旅をすると答えた障害者の89%が、肢体不自由もしくは視覚障害者でした。

 

≪参考:行って良かった旅行先と、その理由≫

今回は全員を対象に、一度訪れたことがある旅行先の内、良かった場所とその理由を自由記述として尋ねました。

<地名での回答>
・名古屋/街の道路が五目の目のように整っており、歩きやすかった。(下肢/聴覚/言語・そしゃくに障害あり)
・道後温泉/旅館における視覚障害者に対する配慮があり、観光ボランティアによる散策の案内も受けられたので、旅行を楽しむことができた。(視覚障害)
・沖縄/車いすでも楽しむことができ、海にも入ることができた。(下肢/膀胱・直腸に障害あり)

<施設名での回答>
・カップヌードルミュージアム/館内がフラットで歩行しやすく、バリアフリー対応のトイレがあった。(下肢障害)
・東京ディズニーランド/障害者へのサービスが手厚く、車いすで訪れても楽しめた。(下肢/体幹に障害あり)

 

≪考察≫

今回の調査では、障害者の8割が「1年に1度」は旅行に行っていることがわかりました。高齢化が進むことから、障害者のみならず車いすを利用する方など身体能力が低下している人の旅行頻度は高まると考えられます。受け入れる観光地や企業にとっては、法律や条例への対応としてバリアフリー化を進めることは勿論、家族や友人などグループで旅行する障害者が多いことから収益源としても見込むことができます。

一方で、家族や知人・友人と旅行する場合「自分の障害のせいで、同行者に迷惑をかけたくない」と不安を感じる障害者も少なくありません。介助者と障害者、どちらかが我慢をするのではなく、それぞれが安心して楽しむことができる旅行が今後の可能性を広げていくと考えます。