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国内旅行に関する障害者の意識調査~障害者の8割が1年に1度以上旅行へ~

≪調査の背景≫

2016年に施行された障害者差別解消法により、ユニバーサルツーリズムに限らず、旅行業界においては一層の障害者受け入れ体制の整備や啓発が進められています。今後需要が高まるであろう障害者の旅行の実態について、調査を行いました。

・対象者:158名
・実施期間:2017年7月7日~2017年7月11日
・調査方法:WEBアンケート

※重複障害の方も含まれるため、対象者数と内訳が異なります
(内訳:肢体不自由 134名、視覚障害 34名、聴覚障害 31名、内部障害 19名、精神障害 17名、発達障害 12名、その他 13名)

 

≪調査結果の注目ポイント≫

・障害者の8割が「1年に1度」以上旅行に行っている
・身体障害者の中で最も旅行頻度が多いのは聴覚障害者で、回答した31人全員が「1年に1度」は旅行に行くと答えた
・障害者と一緒に旅行をするのが最も多いのは「家族」、次いで「友人・知人」
・障害者を含む旅行人数として最も割合が高いのは「2~3人」、次いで「4~5人」のグループ

 

≪調査結果の詳細≫

■旅行に行く頻度:障害者の8割が「1年に1度」は旅行に行くと回答 n=144

※「内部障害」「精神障害」「発達障害」「その他」はサンプル数寡少のため、参考値

障害者を対象に、旅行に行く頻度を尋ねたところ、障害者の8割が「1年に1度」以上旅行に行くと回答しました。身体障害者の中で最も旅行頻度が多いのは聴覚障害者で、回答した31人全員が「1年に1度」は旅行に行くと答えました。

一方で「4~5年に1度」「それ以下」「行かない」と答えた人の約70%が、その理由として「障害による不便」を挙げていることがわかりました。

 

■旅行の同行者:最も多いのは「家族」、次いで「友人・知人」(複数回答) n=118

障害者が旅行に行く際の同行者を尋ねたところ、最も多いのは「家族」で66%、次いで多いのが「友人・知人」で43%、その次に「恋人・配偶者」で36%でした。全体の約10%である12名が 「ヘルパーさんと」と回答しました。また、ヘルパーさんと行くと答えた人の内10名が肢体不自由、残りの2名は視覚障害者であることがわかりました。

 

■旅行に行く人数:障害者の約8割は複数名で旅行に行くと回答 (複数回答) n=118

障害者に旅行へ行く人数を尋ねたところ、約8割の障害者が複数名で旅行に行っていることが明らかになりました。最も多い旅行人数は「2~3人」であり、次いで「4~5人」のグループです。

また、一人旅をすると答えた障害者の89%が、肢体不自由もしくは視覚障害者でした。

 

≪参考:行って良かった旅行先と、その理由≫

今回は全員を対象に、一度訪れたことがある旅行先の内、良かった場所とその理由を自由記述として尋ねました。

<地名での回答>
・名古屋/街の道路が五目の目のように整っており、歩きやすかった。(下肢/聴覚/言語・そしゃくに障害あり)
・道後温泉/旅館における視覚障害者に対する配慮があり、観光ボランティアによる散策の案内も受けられたので、旅行を楽しむことができた。(視覚障害)
・沖縄/車いすでも楽しむことができ、海にも入ることができた。(下肢/膀胱・直腸に障害あり)

<施設名での回答>
・カップヌードルミュージアム/館内がフラットで歩行しやすく、バリアフリー対応のトイレがあった。(下肢障害)
・東京ディズニーランド/障害者へのサービスが手厚く、車いすで訪れても楽しめた。(下肢/体幹に障害あり)

 

≪考察≫

今回の調査では、障害者の8割が「1年に1度」は旅行に行っていることがわかりました。高齢化が進むことから、障害者のみならず車いすを利用する方など身体能力が低下している人の旅行頻度は高まると考えられます。受け入れる観光地や企業にとっては、法律や条例への対応としてバリアフリー化を進めることは勿論、家族や友人などグループで旅行する障害者が多いことから収益源としても見込むことができます。

一方で、家族や知人・友人と旅行する場合「自分の障害のせいで、同行者に迷惑をかけたくない」と不安を感じる障害者も少なくありません。介助者と障害者、どちらかが我慢をするのではなく、それぞれが安心して楽しむことができる旅行が今後の可能性を広げていくと考えます。